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📘 キャリア理論・発達理論

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キャリア理論・発達理論 ★★★
アブラハム・H・マズロー|欲求階層説
人間の欲求を生理的欲求から自己実現欲求まで5段階の階層で捉え、低次が満たされると高次が現れるとしたマズローの理論。
マズローは人間の欲求を、生理的欲求・安全欲求・所属と愛情の欲求・承認欲求・自己実現欲求の5段階の階層で示した。低次の欲求がある程度満たされると、より高次の欲求が動機として現れるとする。最上位の自己実現は、自分の可能性を最大限に発揮しようとする成長欲求である。低次の4つは不足を補う欠乏欲求とされ、後年にはこれらの上に自己超越の欲求を加えたとも言われる。
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アルバート・バンデューラ|社会的学習理論・自己効力感
観察学習(モデリング)を重視し、ある課題を遂行できるという自己効力感が行動を左右するとした、バンデューラの理論。
バンデューラは、人は直接経験だけでなく他者の行動を観察・模倣して学ぶ(モデリング・観察学習)とする社会的学習理論を提唱した。中核概念が自己効力感で、ある状況で必要な行動をうまく遂行できるという自分への信念を指す。自己効力感は、達成経験・代理経験・言語的説得・生理的情動状態の4つの情報源から形成され、これが高いほど課題への挑戦や努力の継続が促されるとした。
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エドガー・H・シャイン|キャリア・アンカー
仕事で最も大切にし手放したくない自己イメージを表す概念で、能力・動機・価値観から成る8類型に分類されるシャインの考え。
シャインはキャリアを選択する際に個人が最も大切にし、これだけは犠牲にしたくないとする自己概念をキャリア・アンカーと呼んだ。専門・職能別能力、全般管理能力、自律・独立、保障・安定、起業家的創造性、奉仕・社会貢献、純粋な挑戦、生活様式の8類型がある。能力・動機・価値観の3要素から形成され、就労経験を通じて明確化する。組織と個人のニーズをすり合わせる視点も重視した。
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エリク・H・エリクソン|心理社会的発達理論
人生を8つの発達段階に分け、各段階に固有の心理社会的危機を乗り越えることで人格が発達するとした、エリクソンの理論。
エリクソンは人生を乳児期から老年期までの8段階に分け、各段階に固有の心理社会的危機があるとした。乳児期の基本的信頼対不信に始まり、青年期の同一性(アイデンティティ)対役割の混乱を経て、老年期の統合対絶望に至る。危機を乗り越えるごとに希望や意志、忠誠などの徳が獲得され人格が発達する。青年期のアイデンティティ確立を特に重視し、モラトリアム概念も提唱した。
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ジョン・D・クランボルツ|社会的学習理論・計画的偶発性理論
予期せぬ偶然を、好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心をもって主体的に活かしキャリアを開くとする、クランボルツの理論。
クランボルツは、成功した人のキャリアの多くが予期しない偶然の出来事に左右されていることに着目し、計画的偶発性理論を提唱した。偶然を待つのでなく、好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心の5つの態度をもって行動することで、偶然を自らのキャリアに有利な機会へと変えられるとする。社会的学習理論を基盤とし、綿密な計画より行動と学習の継続を重視する点に特徴がある。
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ジョン・L・ホランド|RIASEC理論・六角形モデル
個人と環境をR・I・A・S・E・Cの6タイプで分類し、両者の一致度が高いほど職業満足や適応が高まるとするホランドの理論。
ホランドは職業興味を現実的(R)・研究的(I)・芸術的(A)・社会的(S)・企業的(E)・慣習的(C)の6類型に整理し、それらを六角形上に配置した。個人のパーソナリティ類型と環境(職場)の類型が一致するほど職業満足や安定、達成が高まると考える。隣り合う類型ほど性質が近く、対角に位置する類型ほど性質が離れる。VPI職業興味検査やSDSに応用され、職業選択支援の基礎理論とされる。
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ダグラス・T・ホール|プロティアン・キャリア
組織でなく個人が主体となり、地位や報酬より本人の価値観に基づく心理的成功を重視する、変幻自在なホールのキャリア観。
ホールは、変化に応じて自在に姿を変えるギリシャ神話の神プロテウスになぞらえ、環境に応じて柔軟に形を変えるキャリアをプロティアン・キャリアと呼んだ。キャリアの主体は組織ではなく個人であり、地位や報酬より本人の価値観に基づく心理的成功を目標とする。アイデンティティと適応力(アダプタビリティ)を中核の能力とし、生涯にわたる自己主導の学習と成長を重視する。
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ドナルド・E・スーパー|ライフキャリアレインボー
生涯に担う複数の役割を時間軸に沿って虹の帯に見立て、役割の重なりや比重の変化としてキャリアを表したスーパーの図式。
スーパーは、人が生涯に担う子ども・学生・余暇人・市民・労働者・家庭人などの役割(ライフロール)を、時間の経過(ライフスパン)とともに虹の帯として描いた。各役割の重なりや比重は年齢や状況で変化し、その総体がその人のキャリアを形づくると考える。役割間の葛藤や調和を視覚的に捉えられる点に特徴があり、ライフスペースの概念を分かりやすく図式化したものである。
キャリア理論・発達理論 ★★★
ドナルド・E・スーパー|ライフスパン・ライフスペース理論
キャリアを生涯にわたる発達過程と複数の役割の広がりから捉え、5つの発達段階と自己概念の実現を重視するスーパーの理論。
スーパーはキャリアを職業選択の一時点でなく生涯にわたる発達過程と捉え、成長・探索・確立・維持・解放(下降)の5段階(マキシサイクル)を示した。同時に、人は複数の役割を並行して担う存在であるとし、時間軸のライフスパンと役割の広がりのライフスペースを統合した。自己概念を職業を通じて実現していく過程を重視し、各段階には固有の発達課題があるとした。
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ナンシー・K・シュロスバーグ|トランジション理論・4S
人生の転機を状況・自己・支援・戦略の4Sという資源で点検し、主体的に乗り越える支援を重視するシュロスバーグの理論。
シュロスバーグは人生の転機を、予期した転機、予期しない転機、期待したのに起こらなかった転機に分類した。転機を乗り越える資源として、状況(Situation)、自己(Self)、周囲の支援(Support)、対処戦略(Strategies)の4Sを点検することを重視する。転機は喪失であると同時に成長の機会でもあり、資源を整理・活用して主体的に対処することが支援の鍵となる。
キャリア理論・発達理論 ★★★
フランク・パーソンズ|特性因子理論
個人の特性と職業の要件を分析し、両者を合理的に照合して最適な職業選択を導く、パーソンズの古典的な職業指導理論。
パーソンズは職業指導の父と呼ばれ、賢明な職業選択には3つの要素が必要と説いた。第一に自分自身(適性・能力・興味・限界)の明確な理解、第二に職業に関する知識(仕事の要件・成功条件・報酬・見通し)、第三に両者の関係についての合理的な推論である。人の特性と職業が求める因子を照合して最適な組み合わせを導く考え方は、後の職業適性検査やマッチング理論の基礎となった。
キャリア理論・発達理論 ★★★
マーク・L・サビカス|キャリア構築理論
職業パーソナリティ・キャリアアダプタビリティ・ライフテーマの3要素から、主観的な意味づけによるキャリア形成を捉えるサビカスの理論。
サビカスは構成主義の立場から、人は経験に意味を与えながら主観的にキャリアを構築すると考えた。中心概念は、興味や能力などの職業パーソナリティ、変化に適応する力であるキャリアアダプタビリティ、人生を貫く物語であるライフテーマの3つである。過去の経験を語り直すことで一貫した意味づけがなされるとし、キャリア・ストーリー・インタビューなどの実践を提唱した。
キャリア理論・発達理論 ★★★
マーク・L・サビカス|キャリア適応性
変化や職業上の移行に対処する力で、関心・統制・好奇心・自信という4つのCから構成される、サビカスの中核概念。
キャリアアダプタビリティは、サビカスがキャリア構築理論の中核に据えた適応資源で、発達課題や職業上の移行に備え対処する力を指す。未来を意識する関心(Concern)、自らキャリアを方向づける統制(Control)、可能性を探る好奇心(Curiosity)、課題を遂行できるという自信(Confidence)の4次元から構成される。4つのCとして知られ、支援ではこれらを高めることが目指される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
キャリア・プラトー
昇進が見込みにくい階層的プラトーと、仕事に慣れ挑戦が乏しくなる内容的プラトーに分けられる、キャリアの停滞状態。
キャリア・プラトーは、これ以上の昇進が見込みにくくなる「階層的プラトー」と、仕事に慣れて挑戦や学びが乏しくなる「内容的プラトー」に分けられる、キャリアの停滞状態を指す。組織の高齢化やポスト不足で生じやすく、意欲低下につながることがある。一方で職務の再設計や役割転換、水平的な成長支援によって克服しうる。中高年層のキャリア支援を考える論点として出題される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
組織社会化
新規参入者が組織の価値観・規範・役割を学び、一人前の成員として適応していく過程で、定着支援の基盤となる概念。
組織社会化は、新入社員や中途採用者が、組織の文化・価値観・行動規範や職務上の役割を習得し、円滑に適応していく過程を指す。入社前の期待と現実の差(リアリティ・ショック)を乗り越え、必要な知識・人間関係・アイデンティティを獲得していく。導入研修やメンター制度、OJTなどが促進要因となる。定着支援やオンボーディングを考える基盤概念として、人材開発分野とあわせて問われる。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
レジリエンス
困難や強いストレスに直面しても、押しつぶされずに適応し、回復・成長していく心理的な回復力・しなやかさを指す概念。
レジリエンスは、逆境・喪失・強いストレスに直面しても、押しつぶされずに適応し、立ち直っていく心理的な回復力を指す。楽観性や自己効力感、周囲からの支援などが高める要因とされ、後天的に育成できると考えられている。キャリアの転機や失業・挫折を乗り越える力として、また職場のメンタルヘルスや変化対応力の観点から重視され、支援の目標概念として出題される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
職業興味の発達
職業に対する興味は生得的に固定されず、経験や学習を通じて形成・変化していくとする発達的な考え方。
職業興味は、生まれつき決まっているのではなく、遊び・学習・仕事などさまざまな経験のなかで、成功体験や周囲の反応を通じて徐々に形成・分化していくと考えられている。ホランドの類型や社会的学習理論、SCCTでもこの発達的視点が共有される。興味検査の結果を固定的に扱わず、今後の経験によって広がりうるものとして支援する姿勢が求められ、自己理解支援と関連して問われる。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
H・B・ゲラット|意思決定理論・積極的不確実性
不確実な状況では合理性だけでなく直観や柔軟な発想も活かして意思決定すべきとする、後期ゲラットの考え方。
ゲラットは当初、客観的情報に基づく合理的・連続的な意思決定モデルを示したが、後に変化の激しい時代では将来を確定できないとして積極的不確実性を提唱した。これは不確実さを前向きに受け入れ、合理性だけでなく直観や想像力、柔軟な発想も活用して意思決定する態度である。目標や情報は変化するものと捉え、矛盾を許容しながら選択を続けることの大切さを説いた。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
L・サニー・ハンセン|統合的人生設計(ILP)
仕事・愛・学び・余暇の4Lを織り合わせ、人生全体を意味ある全体として統合し、社会的公正も重んじるハンセンのキャリア観。
ハンセンは、キャリアを職業に限らず人生全体の役割を織り合わせるものと捉え、統合的人生設計(ILP)を提唱した。人生を仕事・愛・学習・余暇という4つのL(4L)の組み合わせと見なし、キルト(パッチワーク)に例えて全体の調和を重視する。なすべき仕事を探す、意味ある全体を織り上げる、家族と仕事を結ぶなど6つの重要課題を示し、社会的公正や多様性への配慮も強調した。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
アージリス|未成熟・成熟理論
人は受動的な未成熟状態から能動的な成熟状態へ発達するが、管理的な組織がその成長を妨げると指摘した理論。
アージリスは、人間は受動的・依存的な「未成熟」から、能動的・自律的で長期的視野を持つ「成熟」へと発達すると考えた。しかし官僚的で統制的な組織は個人を未成熟な状態に留め、意欲低下や無関心を生むと批判した。組織と個人の欲求は本来対立しうるとし、職務拡大や参加的経営によって個人の成長と組織目標を両立させる必要性を説いた。組織開発論の源流として重要である。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
アルダファー|ERG理論
マズローの欲求階層を生存・関係・成長の三つに再構成し、欲求は同時に働き下位へ後退もするとした理論。
アルダファーは、マズローの五段階説を修正し、人の欲求を生存欲求(Existence)・関係欲求(Relatedness)・成長欲求(Growth)の三つにまとめた。マズローと異なり、複数の欲求が同時に生じうること、上位欲求が満たされないと下位欲求へ関心が戻る「退行」が起こることを認めた点に特徴がある。より現実的な動機づけの説明として、欲求階層説と対比して問われることが多い。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
アン・ロー|早期決定論
幼少期の親の養育態度が、後の人間志向・非人間志向という職業選択の方向を左右するとした、アン・ローの理論。
ローは、マズローの欲求階層説と精神分析を背景に、幼少期の親の養育態度が後の職業選択を方向づけると考えた。親の関わり方を情緒的関心・受容・回避に大別し、温かく人に向かう養育を受けた者は人間志向の職業を、冷たく人を避ける養育を受けた者は非人間志向の職業を選びやすいとした。職業を8分野6水準に分類した点でも知られる、欲求と早期経験を結ぶ理論である。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
イーライ・ギンズバーグ|職業選択発達理論
職業選択を、空想期・試行期・現実期の3段階を経る長期的な発達過程として初めて捉えた、ギンズバーグらの理論。
ギンズバーグらは、職業選択が幼少期の一時点でなく長期にわたる発達過程であると初めて示した。願望が中心の空想期、興味・能力・価値観を意識する試行期、現実との折り合いをつける現実期の3段階を経るとする。当初は選択が不可逆と考えたが、後に生涯を通じて修正可能な過程であると理論を改めた。職業選択を発達的に捉える視点は、スーパーらの理論に大きな影響を与えた。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
ウィリアム・ブリッジズ|トランジション3段階
転機を外的出来事でなく、終焉・中立圏(ニュートラルゾーン)・開始という3段階の心理的な移行過程として捉えるブリッジズの理論。
ブリッジズは、転機(トランジション)を外的な出来事そのものではなく内面の心理的移行過程と捉えた。何かが終わる「終焉」、方向が定まらず混乱する「ニュートラルゾーン(中立圏)」、新たに踏み出す「開始」の3段階を順に経るとする。中立圏は不安定だが自己を見つめ直す創造的な時期であり、この過程を丁寧にたどることが本当の意味での新たな始まりにつながると説いた。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
ヴルーム|期待理論
動機づけの強さは、努力が成果に結びつく期待、成果が報酬をもたらす道具性、報酬の魅力である誘意性の積で決まるとする理論。
ヴルームが提唱した動機づけ理論で、人が行動を起こす力は「期待(努力すれば成果が得られる見込み)」「道具性(成果が報酬に結びつく度合い)」「誘意性(その報酬の魅力)」の三要素の積で決まると説明する。いずれかがゼロなら動機づけは生じない。報酬の主観的価値と見通しを重視する点が特徴で、目標管理や評価制度の設計を考える基礎理論として問われる。努力と成果、成果と報酬の結びつきを明確に示すことが、動機づけを高める鍵となる。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
エドワード・L・デシ/リチャード・M・ライアン|自己決定理論
自律性・有能感・関係性という3つの心理欲求が満たされるほど内発的動機づけが高まるとする、デシとライアンの理論。
デシとライアンは、人の動機づけを外的報酬による外発的動機づけと、活動自体への興味に基づく内発的動機づけの連続体で捉えた。自律性・有能感(コンピテンス)・関係性という3つの基本的心理欲求が満たされるほど、動機づけは内発的で自己決定的になるとする。金銭など外的報酬がかえって内発的動機を損なうアンダーマイニング効果も示し、自ら選んだという感覚の重要性を強調した。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
クライツ|キャリア成熟度
年齢や発達段階に応じたキャリア課題に取り組む準備の程度を指し、態度的側面と能力的側面から測る概念。
クライツは、スーパーのキャリア発達論を発展させ、その年代に求められるキャリア課題に対処する準備の整い具合を「キャリア成熟度」として概念化し、測定を試みた。成熟度には、計画性や自律性といった態度的側面と、自己理解や意思決定に関する能力的側面がある。個人がどの程度主体的にキャリアを形成できる状態にあるかを把握する指標として、発達段階の考え方とあわせて問われる。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
グラットン|ライフ・シフト
長寿化により教育・仕事・引退の三段階モデルが崩れ、生涯にわたり学び直しと役割の再構築が必要になるとした考え方。
グラットンは、人生100年時代の到来により、これまでの「教育・仕事・引退」という三段階の生き方が成り立たなくなると論じた。長い就業人生では、学び直しや働き方の転換を繰り返すマルチステージの人生が一般化し、金銭的資産だけでなくスキル・健康・人間関係といった無形資産の形成が重要になる。生涯学習やリスキリング推進の背景として、動向分野とも結びつけて出題される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
コルブ|経験学習モデル
具体的経験・省察的観察・抽象的概念化・能動的実験の循環で学びが深まるとする、経験を起点とした学習理論。
コルブは、人は経験を通じて学ぶと考え、その過程を四段階の循環で示した。まず具体的な経験をし、次にそれを振り返って省察し、そこから教訓や概念を抽象化し、さらに新たな場面で試すという実験を行う。このサイクルを繰り返すことで学習が深まるとした。職場でのOJTや内省支援、1on1における振り返りの理論的根拠として、人材開発分野と関連づけて頻出する。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
ジェームズ・マーシャ|アイデンティティ・ステイタス
危機(探索)と関与の有無を組み合わせ、青年期の自我同一性の状態を達成・拡散・早期完了・モラトリアムの4つに分類したモデル。
マーシャはエリクソンの自我同一性概念を実証的に発展させ、「危機(探索)」と「関与(傾倒)」の二軸の有無によって同一性の状態を4つに分類した。両方を経た同一性達成、危機のさなかにある同一性拡散、関与はあるが危機を経ていない早期完了(権威受容)、危機中で関与が定まらないモラトリアムである。青年のアイデンティティ形成の理解と支援に広く用いられている。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
シャイン|キャリア・サバイバル
組織の職務・役割の要請と個人のキャリア・アンカーをすり合わせ、双方の適合を図る職務分析の考え方。
シャインは、個人の内的なキャリア志向であるキャリア・アンカーと対をなす概念として、組織側の視点であるキャリア・サバイバルを示した。これは組織が環境変化のなかで求める職務や役割の要件を分析し、それを個人の価値観や動機とすり合わせていく過程を指す。個人と組織の双方のニーズを調和させることを重視し、人材配置やキャリア開発の実務を考える枠組みとして出題される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
シャウフェリら|ワーク・エンゲージメント
仕事に活力・熱意・没頭を感じる、充実して持続的な心理状態を指し、燃え尽き(バーンアウト)の対極に位置づけられる概念。
ワーク・エンゲージメントは、仕事に対してエネルギーを注ぎ、意義を感じて誇りを持ち、集中して取り組む「活力・熱意・没頭」がそろった前向きで持続的な心理状態を指す。燃え尽き(バーンアウト)の反対の概念とされ、仕事の資源や個人の資源によって高まる。生産性や健康、定着との関連が示され、健康経営や働きがい向上の指標として近年重視され、動向分野とも関連して出題される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
スーパー|アーチモデル
職業的自己概念が個人的要因と社会的要因という二本の柱に支えられて形成されることを示したスーパーのモデル。
スーパーは、キャリア発達を支える諸要因の関係をアーチ(門)の形で表現した。一方の柱に欲求・知能・価値観・適性などの個人的(心理的)要因を、他方の柱に家族・地域・労働市場・経済などの社会的要因を置き、両者の相互作用の上に職業的自己概念が形成されると示した。人と環境の双方がキャリアを形づくるという統合的視点を象徴するモデルとして問われる。人と環境の双方への働きかけがキャリア支援に必要であることを示している。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
ダニエル・J・レビンソン|人生の四季
成人の発達を四季になぞらえ4つの発達期と過渡期で捉え、特に人生半ばの過渡期での生き方の問い直しを重視したレビンソンの理論。
レビンソンは成人の発達を四季になぞらえ、児童期と青年期・成人前期・中年期・老年期という4つの発達期(生活構造の安定期)で捉えた。各発達期の間には約5年の過渡期(トランジション)があり、とりわけ40代前後の人生半ばの過渡期を重視した。この時期に人はそれまでの生き方を問い直し、生活構造の再構築を迫られるとし、成人期にも段階的な発達が続くことを示した。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
チクセントミハイ|フロー理論
課題の難度と自分の能力が高い水準で釣り合うとき、活動に没入し時間を忘れる最適経験フローが生じるとする理論。
チクセントミハイは、人が活動に完全に没入し、集中と充実を感じる心理状態を「フロー」と呼んだ。フローは、取り組む課題の難易度と自分のスキルがともに高く釣り合ったときに生じやすく、明確な目標と即時のフィードバックがある活動で起こりやすい。難度が高すぎれば不安、低すぎれば退屈になる。内発的動機づけや働きがい、ワーク・エンゲージメントを理解する概念として出題される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
ハックマン&オルダム|職務特性モデル
技能多様性・タスク完結性・重要性・自律性・フィードバックの五特性が働く人の内発的動機づけを高めるとするモデル。
ハックマンとオルダムは、職務そのものの設計が動機づけを左右すると考え、五つの中核的職務特性を示した。多様な技能を使い、仕事の全体像に関われ、社会的意義を感じ、進め方に裁量があり、成果への手応えが得られるほど、仕事の有意義感や責任感が高まり、内発的な動機づけと満足度が向上するとした。職務再設計やジョブ・クラフティングの基盤となる考え方として重要である。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
バルテス|SOC理論
加齢に伴う資源の制約に対し、目標の選択・資源の最適化・手段の補償という方略で適応し、生涯発達を続けるとする理論。
バルテスの生涯発達心理学に基づく理論で、人は年齢や状況により資源が限られるなかでも、目標を絞り込む「選択」、残る資源を効果的に使う「最適化」、失われた機能を別の手段で補う「補償」を組み合わせて適応すると説明する。高齢期の就業継続や役割の再編を前向きにとらえる枠組みであり、エイジングと働き方の議論と結びつけて出題される。高齢期の就業継続や役割の再編を前向きにとらえる指針としても活用される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
ピーターソンら|認知的情報処理アプローチ(CIP)
キャリア意思決定を情報処理過程ととらえ、知識・処理スキル・メタ認知の階層で支援を組み立てる理論。
CIP理論は、キャリアの意思決定を情報を処理して問題を解決する過程とみなす。基盤には自己と職業に関する「知識領域」があり、その上に問題を分析し選択肢を絞る「意思決定スキル領域(CASVEサイクル)」、さらに自らの思考を監視・調整する「実行処理領域(メタ認知)」が積み重なる。非機能的な思考の修正を重視し、体系的な意思決定支援や自己理解の促進に活用される枠組みである。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
プライアー&ブライト|キャリア・カオス理論
キャリアは複雑で予測困難な要因に左右されるととらえ、偶然や変化を活かす柔軟な姿勢を重視する理論。
キャリア・カオス理論は、現実のキャリアが数多くの予測不能な要因や偶然の出来事に影響される複雑系であるととらえる。計画通りに直線的に進むという前提を退け、変化や不確実性を前提に、偶然を機会として活かす開かれた姿勢や適応力を重視する。計画的偶発性理論と親和性が高く、変化の激しい時代のキャリア形成を考える新しい枠組みとして出題されることがある。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
フレデリック・ハーズバーグ|二要因理論
職務満足をもたらす動機づけ要因と、不満を防ぐ衛生要因は別次元であるとし、職務充実の重要性を説いたハーズバーグの理論。
ハーズバーグは、職務満足をもたらす要因と不満をもたらす要因は別々の次元であると主張した。達成・承認・仕事そのもの・責任・昇進などの動機づけ要因は満たされると満足を高めるが、給与・作業条件・対人関係・会社の方針などの衛生要因は不足すると不満を生む一方、満たしても満足にはつながらない。満足の反対は不満ではなく満足がない状態であるとし、職務充実の重要性を説いた。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
マイケル・B・アーサー/デニス・M・ルソー|境界なきキャリア
一つの組織の枠を越えて組織間を移動しながら形成され、雇用保障よりエンプロイアビリティを重視する流動的なキャリア観。
アーサーとルソーは、終身雇用を前提とした組織内キャリアに対し、企業や職種の境界を越えて展開するキャリアを境界なきキャリアと呼んだ。転職や副業、ネットワークを通じた移動を前提とし、雇用の保障よりエンプロイアビリティ(雇用され得る能力)を重視する。キャリアの責任と主導権は個人にあるとされ、プロティアン・キャリアと並ぶ現代的なキャリア観として位置づけられる。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
マグレガー|X理論・Y理論
人間観をX(人は怠け命令で動く)とY(人は自ら進んで働く)に対比し、Y理論に基づく管理の有効性を説いた理論。
マグレガーは、経営者が持つ人間観を二つに整理した。X理論は人間を本来怠惰で責任を避け、統制と命令によって働かせるべき存在とみなす。Y理論は人間を自律的で、条件が整えば自ら責任を引き受け目標達成に努力する存在ととらえる。彼はY理論に立ち、参加や自己統制を重んじる管理が組織と個人双方の成長を促すと主張した。動機づけと組織運営の古典として出題される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
マクレランド|達成動機理論
人の行動を動かす社会的欲求を達成・親和・権力の三つに整理し、特に達成欲求の高さが成果志向の行動を生むとした理論。
マクレランドは人の社会的欲求を達成欲求・親和欲求・権力欲求の三つに分類し、なかでも高い目標に挑み自らの力で成し遂げようとする達成欲求が仕事の業績や起業行動を左右すると考えた。達成欲求の強い人は難しすぎず易しすぎない中程度の課題を好み、結果のフィードバックを重視する。動機は経験や訓練で育成できるとした点も特徴で、能力開発の理論的背景として出題される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
ユング|中年の危機
人生の正午とされる中年期に、それまでの生き方を問い直し自己を再統合しようとする心理的転機を指す概念。
ユングは、人生を太陽の運行になぞらえ、中年期を「人生の正午」と呼んだ。前半で築いた社会的役割や価値観が通用しなくなり、抑圧してきた側面と向き合いながら本来の自己へと統合を進める時期とした。この過程には不安や葛藤を伴う危機的側面があるが、個性化に向かう重要な転機でもある。成人期の発達やキャリア・トランジションを理解する視点として出題される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
レヴィン|場の理論
人の行動は個人(P)と環境(E)の相互作用、すなわちB=f(P,E)として決まるとし、行動を場の力学でとらえる理論。
レヴィンは、人の行動を個人の特性だけでなく、その人が置かれた心理的環境との関係全体(生活空間)のなかでとらえた。行動は個人と環境の関数B=f(P,E)で表され、両者が作る力の場の均衡と変化によって動機や行動が生じると考えた。組織変革の「解凍・変化・再凍結」モデルやグループ・ダイナミクスの基礎でもあり、環境との相互作用を重視する視点として重要である。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
レント&ブラウンら|社会的認知的キャリア理論(SCCT)
自己効力感・結果期待・目標の三要素と、個人特性や環境要因との相互作用から、興味形成や職業選択を説明する理論。
バンデューラの社会的認知理論を基盤に、レントらが構築したキャリア理論。人の職業的興味・選択・行動は、「自分にはできるという自己効力感」「行動がもたらす結果期待」「達成しようとする目標」が中心となり、これらが個人特性や環境の支援・障壁と相互に影響し合って形成されると説明する。学習経験を通じた自己効力感の変化を重視し、多様な背景の人への支援を考える枠組みとして注目される。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
ロッター|統制の所在
出来事の原因を自分の行動に帰す内的統制型と、運や他者に帰す外的統制型に分け、行動傾向の違いを説明する概念。
ロッターが提唱した概念で、人が自分の身に起こる結果の原因をどこに求めるかの傾向を指す。内的統制型は成果を自分の努力や能力に帰属させ、主体的に環境へ働きかけやすい。外的統制型は運・偶然・有力者など自分の外側に原因を求めやすい。内的傾向はキャリア形成の主体性や適応と関連するとされ、自己効力感や社会的学習理論と結びつけて出題される。帰属の仕方を自覚し、内的統制の傾向を育てる支援が有効とされている。
キャリア理論・発達理論 ★★☆
ロバート・J・ハヴィガースト|発達課題論
人生を6つの発達段階に分け、各段階で達成すべき発達課題を示し、その達成が次段階の幸福につながるとしたハヴィガーストの理論。
ハヴィガーストは、人が健全に発達するために各段階で達成すべき課題を発達課題と呼んだ。乳幼児期から老年期までの6段階を設定し、身体的成熟・社会からの期待・個人の価値観の3つを源泉とする課題があるとした。たとえば青年期には職業選択の準備や情緒的自立、成人期には配偶者選択や職業生活の確立などが挙げられる。課題の達成が次段階の成功と幸福につながるとした。
キャリア理論・発達理論 ★☆☆
ヴィゴツキー|発達の最近接領域
一人ではできないが、他者の適切な援助があればできる領域を指し、そこへの働きかけが発達を引き上げるとした概念。
ヴィゴツキーは、子どもが自力で達成できる水準と、大人や有能な仲間の援助を得て達成できる水準との間の差を「発達の最近接領域」と呼んだ。学習や支援はこの領域に働きかけることで発達を促すとし、足場かけ(スキャフォールディング)の考え方につながる。発達を社会的相互作用の産物とみなす視点は、キャリア支援や教育・人材育成における援助のあり方を考える基礎となる。
キャリア理論・発達理論 ★☆☆
コールバーグ|道徳性発達理論
道徳的判断は罰の回避から普遍的原理まで、前慣習・慣習・後慣習の三水準六段階で発達するとした理論。
コールバーグは、人の道徳的判断の発達を三水準六段階に整理した。前慣習的水準では罰の回避や利益で善悪を判断し、慣習的水準では周囲の期待や社会の秩序を基準とする。後慣習的水準では社会契約や普遍的な倫理原理に基づいて判断する。ピアジェの認知発達論を道徳領域に発展させたもので、価値観や倫理観の形成を理解する枠組みとして出題されることがある。教育や他者との対話を通じて、道徳的判断がより高次の段階へ発達すると考えられている。
キャリア理論・発達理論 ★☆☆
セリグマン|学習性無力感
努力しても結果が変わらない経験を繰り返すと、本来は回避できる場面でも諦めて無気力に陥ってしまう現象。
セリグマンは、自分の行動では結果を変えられない状況に繰り返しさらされると、実際には改善できる場面でも「何をしても無駄だ」と諦め、行動を起こさなくなる状態を学習性無力感と呼んだ。抑うつや意欲低下の理解につながり、原因の受け止め方(帰属スタイル)が回復を左右するとされる。後年、彼はこの知見をポジティブ心理学へと発展させた。動機づけや支援の論点として出題される。
キャリア理論・発達理論 ★☆☆
ティードマン|意思決定理論
キャリア意思決定を予期と実行の局面に分け、自己を分化・統合しながら主体的に選択を築く過程とした理論。
ティードマンは、キャリアの意思決定を静的な一時点の選択ではなく、時間をかけて展開する連続的な過程ととらえた。選択に先立つ「予期の局面(探索・結晶化・選択・明確化)」と、選択後の「実行と適応の局面(導入・改革・統合)」に分け、その過程で自己を分化させ再統合していくとした。自己概念の発達と意思決定を結びつけ、主体性を重視する理論として出題される。
キャリア理論・発達理論 ★☆☆
ピアジェ|認知発達理論
子どもの思考は感覚運動期から形式的操作期へ質的段階を追って発達するとし、認識の構造化を説明した理論。
ピアジェは、子どもの認知能力が感覚運動期・前操作期・具体的操作期・形式的操作期という質的に異なる四段階を経て発達すると考えた。人は環境との相互作用のなかで既存の枠組みに情報を取り込む「同化」と、枠組み自体を作り変える「調節」を通じて認識を高度化させる。発達を単なる量的増加ではなく構造の変化ととらえた点が重要で、発達心理学の基礎理論として問われる。
キャリア理論・発達理論 ★☆☆
ボウルビィ|愛着理論
乳幼児が養育者との間に築く情緒的な絆(愛着)が、その後の対人関係や心理的安定の基盤になるとした理論。
ボウルビィは、乳幼児が特定の養育者に接近を求め安心を得ようとする情緒的な結びつきを愛着(アタッチメント)と呼び、生存に不可欠な生得的傾向ととらえた。安定した愛着は探索行動や自己肯定感、後年の対人関係の土台になるとされる。エインズワースの実験により愛着の型が示された。発達の初期経験が生涯にわたり影響するという視点を提供し、心理支援の背景理論として問われる。
キャリア理論・発達理論 ★☆☆
レオン・フェスティンガー|認知的不協和モデル
矛盾する認知が生む不快な緊張を減らそうと、人は態度や行動を変えたり選択を正当化したりするとする、フェスティンガーの理論。
フェスティンガーは、人が自分の中に矛盾する複数の認知(考え・信念・行動)を抱えると認知的不協和と呼ばれる不快な緊張が生じるとした。人はこの不協和を低減しようと、行動を正当化したり、認知の一方を変えたり、新たな情報を加えたりする。たとえば選択後に選ばなかった選択肢の価値を下げる。キャリア選択後の迷いや意思決定の合理化を理解する枠組みとしても用いられる。